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いや、説明とか苦手です
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 ハートの形状はギザギザというよりメタメタ。キザキザよりましですけれど。
 ところで、ギザギザって、かなで書くと、ぎざぎざ、になります。読みづらい。ざざざざっぽい。
 どうも。”いつも心にノイズを”でお馴染み、Regnenです。ざざざざっ!


 
 朝。
 食事を作り終え、紅茶を入れるためにお湯を沸かしていると、
 リビングのドアが開き、パジャマ姿の姉さんがのそのそと入ってきた。
 「おはよう」
 「んん・・・」
 姉さんはふらふらと危なっかしい足取りでソファまでたどり着くと、
 力尽きるように、ぼてっとソファに倒れこんだ。
 「テレビ付けてー」
 「はいはい・・・」
 「新聞取ってー」
 「はいはい・・・」
 「ぐー・・・」
 ぴーっ、という鋭い笛音。お湯が沸いたようだ。
 「寝てるし・・・。ほら、紅茶」
 「うーん・・・。ずず・・・、うう、あつい・・・。・・・ぐー」
 姉さんはソファにうつぶせの状態で寝そべったまま微動だにしなくなった。
 ていうか、せめて着替えてから降りてきてください・・・。
 姉さんの寝起きの悪さはいつものことなので、とりあえず放置することにして、
 冷ましておいたご飯を弁当箱に詰め、弁当箱全体のレイアウトを決める。
 今日は味付けが濃い目のおかずがメインなので、ご飯は少し多めに配分しておく。
 汁漏れしないように、おかずをカップに入れることも忘れない。色彩は重要な要素だ。
 さらに、ほかのおかずと味が混ざらないようにバランで区切ってーーーいると、
 いつの間に起きてきたのか、背後からMが僕の肩越しに手元を覗き込んでいた。
 「おまえ、普通に凝っているよな」
 「そうかな」
 「しかも、前に見たときより完成度上がってるし。そういうの、好きなの」
 「べつに」
 何気ない動作でMが弁当箱に手を伸ばしてきたので菜箸でガードする。
 「テーブルの上にご飯あるから」
 「そのミートボールが良いんだ。冷凍のチープなやつが」
 冷凍で悪かったな。いま、朝の弁当作りタイムアタック中なんだよ。
 ちなみに、今日のラップ(所要時間)は20分程度。
 ご飯を冷ます時間も含めて、最終的には15分まで縮めたい。
 「姉さんに殺されても知らないよ」
 姉さんも冷凍のミートボールは大好きだったりする。
 しかも特定メーカーのでないと食べない。味覚に幼さの残る27歳である。
 「お前が黙っていれば済む話だ」
 「いや、姉さんは知ってるけど」
 「あ?」
 ていうか、姉さんのリクエストだし。
 まあ、最近、僕がひじき作りにハマったせいで、一時期、悲惨な弁当事情だったし。
 「マジかよ・・・」
 Mは渋々といった様子で引き下がり、テーブルに着くと、
 紅茶の入ったマグカップにざらざらとスティックシュガーをぶちこむ。4本。
 マグカップの容量的に3本以上は飽和状態になって解け切らないので、
 1本ぶんは、カップの底に澱となって溜まってしまうのだが、
 Mはそれが良いらしい。まあ、変態だからな。Mは。
 そのうちインシュリンの世話にでもなれば良いと思う。
 Mに新聞を奪われた姉さんが、もぞもぞと蠢くが、まだ起きる様子はない。
 速攻で朝食を食べ終えたMが慌しく出て行き、
 リビングには僕と姉さんが残された。
 テレビを見るともなしに見ながら、まったりと時間をやり過ごす。
 ニュース番組では不景気がどうとか気象がどうとか言っているが、
 話の規模がでかすぎて、いまいちぴんとこない。あまり現実感がない。
 世間から隔絶されつつある今の僕には、些細な情報でさえ、手にも、身にも、耳にも余る。
 自分用に淹れた紅茶が半分になった頃、姉さんがソファからむくっと顔を起こした。
 ただでさえぼさぼさだった頭なのに、ソファに横になったせいで、
 さらに髪があちこち撥ねていて、もうわけがわからない。
 ぼんやりとした眼で、騒がしいテレビを見て、目の前のマグカップを見て、僕を見た。
 姉さんは視線を僕に固定したまま、両手を包むようにマグカップを持つと、
 のろのろと口元に運ぶ。
 カップを傾けると、白い喉が僅かに動く。
 「・・・つめた」
 だから、寝すぎなんだって。

 「何枚?」
 「2枚」
 「トーストが焼けるまでのあいだ、着替えてきたら」 
 「いいのー」
 「さようで」
 淹れ直した紅茶をすすりながら、新聞に目を通している姉さんはあまり年上に見えない。
 なんでだろう。童顔だからだろうか。身長も低いし。というか、言動がなあ・・・。
 しかし、それは僕たちの責任でもあるし、
 少なからず救われている部分もあるので心境は複雑。
 悶々としていると、ちーん、とトースターが鳴った。思考の重さに比例して時間は加速する。
 焼きたてのトーストを皿に移し、姉さんに渡す。
 「はい」
 「んー」
 皿を受け取った姉さんが、トーストにマーガリンを塗っていく。
 べたべた。
 塗りたくっていく。鼻歌交じりに。
 べたべた。
 ああああ・・・。
 「あのさあ、姉さん」
 「なあに?」
 心なしか、少し弾んだ声。
 「いつも思うのだけど、それは塗りすぎじゃないの」
 既に、トーストは少し黄色がかった白に染め上げられており、
 さらに、その上にもマーガリンを重ねているので、
 なにやら粘土細工のような有様になっている。
 見た目にも、ちょっとグロい。
 「え、いつもこうだけれど」
 いつもこうなのだった。
 「いや、いつも思っていたのだけど、言い出せなかったというか」
 あんまり姉さんが楽しそうだったので。
 「うふふ」
 笑っていらっしゃる。
 姉さんは、トーストにこんもりと盛られたマーガリンを見て、満足そうに微笑み、
 とどめとばかりにメイプルシロップを垂らした。
 「いただきます」
 出来上がった、控えめに言って某レストランの巨大ハニートーストよりも禍々しい物体を、
 ナイフで切り分けて、ひとかけ口に運ぶ。
 なぜか、固唾を飲んで見守ってしまった。
 「おいしい」
 世界には不思議がいっぱいである。

 さて、これで解ってもらえたと思う。
 どうして、我が家の冷蔵庫にはマーガリンが5箱以上も常備されているのかーーー

 そして、新たな謎がひとつ増えた。
 どうして、あれだけマーガリンを消費して、姉さんはふとらな・・・うわなにをするやめ、ちょっ
 
 ていうか、書いてみると、
 改めて自分の置かれている状況の歪さが際立つなあ・・・。 

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コメント
無題
マーガリンさん…バタ子さんよりも西洋美人って響きがしますねぇ( ´ー`)

あと、私と同い年だったので(ry
【2009/05/16 22:24】 NAME[コゲチャ^^;] WEBLINK[URL] EDIT[]
>コゲチャ^^;さん
バタ子さんの発想はありませんでした。
ちっ、ちきしょう!オリジナルだと思ったのに!
既に類似品が!ルイージ品があっただなんてッ・・・!

あれ、隠したはずなのにばれていますね。
(副音声:おやおや、知ってしまいましたね)
コゲチャ^^;さんが姉さんに**されないように祈りつつーーー
しかし、**歳って適齢期ですよね。
コゲチャ^^;さんは如才なく嫁なり旦那なりをゲットしている(という前提です)でしょうが、
そろそろ姉さんも嫁なり旦那なりを連れてきても良い頃合だと思うのですが、
なんか少し複雑でもあったりする僕。駄目じゃん・・・。

本当にどうでも良いのですが、
日記の導入部分を、
メタメタにするか、メタリックにするかで、
たっぷり20分は悩みました。
というのを思い出しました。急に。
【2009/05/23 19:38】 NAME[Regnen] WEBLINK[] EDIT[]


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Regnen
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38
性別:
男性
誕生日:
1986/12/14
職業:
学生
趣味:
古い映画のパンフレット収集
自己紹介:
宮崎在住の22歳。
趣味は曲学阿世。
座右の銘は酔生夢死。
最近、
日記の意義を見失い、迷走中。
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優しくなりたい。
ドムドムハンバーガーが大好き。
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